自国の農家の保護を理由に農産物の輸入を制限する国に、無関税、低関税で最低限の量を輸入するよう義務付ける制度。WTO(世界貿易機関)の前身であるGATT(貿易と関税に関する一般協定)が定めた、関税化を行わない農産物についての特例措置で、「最低輸入量」「最低輸入義務」などと訳される。日本では、1993年に合意したGATTウルグアイ・ラウンド農業交渉で、コメのミニマム・アクセスを受け入れ、ミニマム・アクセス米として95年から輸入している。2008年現在の輸入枠は、国内消費量の7.2%に当たる約77万トンで、アメリカ、タイ、中国などからの輸入が多い。輸入後、政府は一定の保管期間を経て、菓子などへの加工米として国内業者に販売するが、国産米志向が根強いことから相当量が売れ残り、保管のコストが問題になっている。08年9月には、大阪市の米穀加工販売会社が、ミニマム・アクセス米のうち、カビが生えたり農薬が検出された「事故米」を購入し、食用として転用、販売していたことが発覚。事故米は本来、のりの製造など工業用にのみ使用できるもので、ミニマム・アクセス米の流通の管理が問題となった。