会社が所有する株式や債券などの有価証券の価格が値下がりして損失が生じたとき、子会社やペーパー会社、社外のファンドなど、決算期の異なる他の企業に、含み損を抱えたまま時価よりも高い価格で一時的に転売して、損失を隠蔽(いんぺい)する偽装工作。決算で損失が表面化しないように、自分の会社の損を社外に「飛ばす」ことから、そう呼ばれている。1980年代は証券会社の損失補填(ほてん)の一手段として行われていたが、バブル崩壊後の90年代前半に、損失処理の先延ばしに利用するケースが相次いで表面化して社会問題となった。飛ばしは粉飾決算に当たり、金融商品取引法で禁止されている。97年には、国内証券4位だった山一証券が、飛ばし行為による粉飾決算が表面化して経営破綻した。2011年11月には、オリンパス(本社・東京都新宿区)が、この手法で1990年代から最大1000億円を超える巨額の損失隠しをしていたことが明るみに出た。