インドシナ半島メコン川流域一帯の経済圏を指す。1992年にアジア開発銀行(ADB ; Asia Development Bank)が開始した「拡大メコン地域経済協力プログラム(Greater Mekong Sub-region economic cooperation program、GMS経済協力プログラム)」によって、域内の開発が進められてきた。GMSにはベトナム、ラオス、カンボジア、タイ、ミャンマー、中国の雲南省と広西チワン族自治区が加盟しており、総面積は約260万平方キロ、人口は約3億2600万人(2012年、ADB発表による)。1990年代初頭までは主に政情不安が原因で発展が遅れていたが、各国の情勢安定に伴い、域内各地をつなぐ道路網や通信網、港湾などのインフラが整いつつあり、2012年までの20年間で域内の国内総生産が3倍以上に増加、経済成長率が年6~8%に達するなど順調に発展を遂げている。また、11年にミャンマーが民政に移管したことで域内の連結性の向上がいっそう期待され、他のアジア諸国における労働コストの高騰や、15年予定のASEAN経済共同体構想といった要素もあいまって、近年メコン地域への関心が高まっている。日本も政治的、経済的な関係を強化しており、09年からはメコン地域諸国との首脳会議が毎年開催され、12年には日本側から事業総額約2兆3000億円のインフラ整備推進など、さらなる協力や支援を表明した。