2012年6月12日に労働界や産業、教育界の代表者、および有識者らが出席する「雇用戦略対話」で正式に合意された、若者の雇用状況を改善するための政府の戦略のこと。09年10月に発表された緊急雇用対策に基づき、同年11月から政府と意見交換が重ねられていた。戦略では、(1)親の経済状況が子どもの学歴やキャリアに影響を与えるという「貧困の連鎖」を防止するため、公立高校授業料を無償とするなどの制度の実現、(2)高校や大学の初年次からのキャリア教育の実施、(3)若者が留学などで海外経験を積むことができるよう、奨学金制度を充実する、などを目指す。10年に閣議決定された、日本経済の再生を目指す新成長戦略の目標年次である20年度を見据えて推進する。施策の実施状況の検証も継続的に行うとしている。また、若者雇用戦略のなかでは、中小企業の採用意欲の高さとは反対に、大企業への就職を目指す若者が多く、雇用のミスマッチが問題となっていると指摘。学校とハローワークなどの機関の連携による中小企業の情報提供、就業体験(インターンシップ)を推進するなど、解決策を打ち出した。さらに、既卒3年以内の若者を新卒扱いとすることの標準化、試行的な有期雇用(トライアル雇用)の推進、過重労働防止の徹底などを目指し、若者の早期離職やフリーターへの定着化を防ぎたいとしている。