既存のすべての株主に対して、時価よりも低い価格で新株を買う権利(新株予約権)を無償で割り当てる資金調達手法。株主割当増資の一つ。企業が増資で新株を発行する際、株主は権利を行使して新株を購入することで、権利が薄まることを回避できる。また、株主が保有株を増やしたくない場合は、新株予約権を市場などへ売却することが可能。売り出された権利を証券会社が他の投資家に販売することで、企業は計画通りに資金を調達できる。広く一般に株主を募集する公募増資や、提携先などへ戦略的に新株予約権を割り当てる第三者割当増資に比べて、既存株主の利益を保護する特徴があり、イギリスなどヨーロッパ諸国では広く利用され、日本を除くアジア市場でも広まりつつある。日本では2006年の会社法によって事実上利用できるようになったが、実施例は11年1月時点で1件のみ。09年には、金融機関などの大規模な公募増資によって株価が下落。株主の利益損失が相次いだことなどを背景に、ライツ・イシューの導入に向けて東京証券取引所(東証)が規制緩和を行った。また、事務手続きに多大な時間がかかるなど、現制度の問題を解消するため、政府は関連法令の改正を進めている。