原子力など各分野のエネルギー運用にかかる安全規制にあたる経済産業省資源エネルギー庁の特別機関。原子力はじめ、電力、都市ガス、高圧ガス、液化石油ガス、火薬類、鉱山などのエネルギー施設および産業活動の安全確保を図る。電力会社などの事業者に対し、原子力発電所など原子力施設の設計・建設から運転・廃止にいたる各段階で安全性をチェック。必要に応じて施設への立ち入り検査や事業者への改善命令なども行う。本院(東京・霞が関)のほか、全国55基の原子力発電設備、12カ所の核燃料サイクル設備の付近、計21カ所に原子力保安検査官が常駐する事務所を設置。また、全国9カ所に設置した産業保安監督部では、原子力発電所を除く電力、都市ガス、火薬類、高圧ガス、鉱山などに関する各事業者への監督・検査を行う。保安院は2001年の中央省庁再編に伴い、旧通商産業省、旧科学技術庁にあった原子力保安部門を統合して発足したが、原子力を推進する経産省が所轄することから以前よりその独立性が問われている。また、内閣府の審議会として設置された原子力安全委員会では、中立的な視点から安全性をダブルチェックし、保安院の規制行政を監視。さらに保安院では、原子力にかかわる専門機関である独立行政法人原子力安全基盤機構(JNES)とも連携を図る。