証券会社(投資銀行)やヘッジファンド、証券化商品の運用会社など、通常の「銀行」ではない金融業態の総称。影の銀行と訳されることもある。銀行が、金融当局から免許制などによって厳しく監督・規制されているのに対して、規制が緩く、当局がその実態を把握しきれていない。しかし、金融市場への影響は大きく、規制監督の枠外で多額の資金を集めてハイリスクの金融商品へ投資が行われてきており、これがサブプライムローン問題を増幅し、2008年9月に発生したリーマン・ショックの一因ともなったとされる。そのため、金融危機の再発防止策の一環として、シャドーバンキング規制が国際的に検討されてきており、11年11月3~4日に開催されたG20カンヌサミットでも、首脳宣言で金融規制の強化に関して、シャドーバンキングへの監督を強化する方針が明記された。G20の金融当局で構成される金融安定理事会(FSB ; The Financial Stability Board)が、シャドーバンキングの実態を把握するために、11年10月27日に発表した初の国際集計によると、シャドーバンキングの世界総資産は、02年の約27兆ドルから増加して、10年には60兆ドルへと膨張した。これは日米欧などの10年の銀行保有資産約96兆ドルの6割以上の規模となる。資産の構成はヘッジファンドやETF(上場投資信託)などが約32%、金融会社、ノンバンクが36%を占めた。