発展途上国に資金の融資などを行う、国連の専門機関。主に中所得国向けの低利融資を担う国際復興開発銀行(IBRD)と、主に最貧国向けの無利子融資を担う国際開発協会(IDA)の2つの総称。1944年7月、第二次世界大戦後の復興と世界経済の安定を見据えて連合国側が開いた「ブレトンウッズ会議」で、国際通貨基金(IMF)とともにIBRDの設立を決定したのが始まり。翌45年にIBRDが設立され、その後60年にIDAが発足した。このためIDAは第二世界銀行(第二世銀)とも呼ばれる。両者は職員、本部ともに共通の組織で、本部はアメリカのワシントン、総裁は韓国系アメリカ人のジム・ヨン・キム(2012年就任、任期5年)。2012年1月時点の加盟国は、IBRDが188カ国、IDAが172カ国。日本は1952年にIBRDへ加盟、IDAには60年の設立当初から加盟している。64年に開通した東海道新幹線や、68年開通の首都高速道路(羽田‐横浜間)の建設費用など総額8億6300万ドルにのぼる借り入れは、戦後復興と経済成長に大きな役割を果たした。66年の融資を最後に日本は世銀を“卒業”、現在アメリカに次いで世銀第2位の出資国となっている。なお、IBRDとIDAに加え、民間セクターを支援する国際金融公社(IFC)、政治リスクに関する保険や保証を提供する多数国間投資保証機関(MIGA)、紛争の調停・仲裁を担う投資紛争解決国際センター(ICSID)の5機関を「世界銀行グループ」と呼ぶ。