生物多様性や土地の景観を守る伝統的な農業を、その地域の習慣や祭りなどの文化も含めて「人類の財産」として登録する制度の俗称。正式には世界重要農業資産システム(GIAHS(ジアス) ; Globally Important Agricultural Heritage Systems)と呼び、世界食糧農業機関(FAO)が2002年に創設した。国の推薦を受けて立候補した地域がFAOに登録を申請し、2年に1度の審査で認定される。これまでペルーのアンデスの「古代バレイショ農法」や、アルジェリア、チュニジア、モロッコの「マグレブのオアシス」、中国の「水田養魚」など8つの地域が登録されてきた。11年6月11日、北京で開催された「GIAHS国際フォーラム」では、新潟県佐渡市と石川県の能登半島が、日本で初めて農業遺産として認定された。佐渡市は08年に国の特別天然記念物トキの放鳥が開始されて以来、トキと共生するため行ってきた減農薬・減化学肥料稲作など、人と自然との共生が評価された。能登半島は、白米(しろよね)千枚田やかやぶき屋根の家屋といった里山の景観や、揚げ浜式製塩やボラ待ちやぐらなどの伝統的な技術が評価されての登録となった。