省エネ機器の導入や節電により「使われなかった電力」のこと。電力の需要が供給を上回る場合、消費電力を削減して需要を抑えれば、新たな発電所を作らずに済み、実質的に発電所の新設と同じ価値があるとの考え方に基づく。電力の単位「ワット」に打ち消しの「ネガ」を付けた造語で、アメリカの物理学者エイモリー・ロビンズが1990年代から提唱している。アメリカでは、2000年にカリフォルニア州で起きた大規模停電を受け、電力需給対策の一環として「ネガワット取引」が始まった。これは、電力需給が厳しい時間帯を電力会社が予測して必要な節電量を募集、仲介業者(アグリゲーター)が大企業など顧客企業から節電分を買い取り、電力会社に売るしくみ。日本では「ネガワット発電所」「節電所」とも呼ばれる取り組みである。経済産業省は、福島第一原子力発電所事故による電力不足への対策として、12年からの「ネガワット取引」導入を検討中。その一環として、11年度第3次補正予算で300億円の基金を設け、電力使用量を把握するためのスマートメーターを住宅1万戸、ビル約2万棟に導入する方針。