2012年10月15日、スウェーデン王立科学アカデミーは同年のノーベル経済学賞を「安定配分理論とマーケットデザインの実証」を理由として、アメリカ国籍の2氏、アルビン・ロス(Alvin E. Roth アメリカのハーバード大学教授)博士、ロイド・シャプレー(Lloyd S. Shapley アメリカのカリフォルニア大学ロサンゼルス校名誉教授)博士の2人に贈呈すると発表した。学校と学生、臓器提供者と患者など、異なる特性をもつ2つの集団の間で最適な組み合わせ(マッチング)を決める理論を構築するとともに、現実の制度に適用させた業績が認められての授賞。シャプレー博士は、自分にとって望ましい行動が他の人たちの行動で影響を受けるような状況を分析するゲーム理論を基に、2つの集団双方が最も満足度が高くなる組み合わせが得られる「ゲール=シャプレー・アルゴリズム」と呼ばれる組み合わせ手法を開発した。ロス博士は、この理論を実際に取り入れた制度設計や実証研究で理論を具体化した。アメリカでは学校選択の制度や臓器移植プログラム、新人医師の研修先病院の選択などに活用されている。賞金800万スウェーデン・クローナ(約9500万円)は2等分される。なお、ノーベル経済学賞は、正式にはアルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン銀行賞とよばれ、1968年にスウェーデン国立銀行が設立300周年の一環として、ノーベル財団に働きかけて設立された。ノーベル物理学賞、化学賞と同じく、スウェーデン王立科学アカデミーが選考する。