安倍晋三首相が2013年1月18日にインドネシアのジャカルタで発表した安倍政権の外交政策。安倍首相は就任後初の外遊として同月16日から19日までベトナム、タイ、インドネシア3カ国を歴訪。ジャカルタで日本の外交方針について演説する予定だったが、アルジェリアでイスラム武装勢力によるテロ事件が発生したことで急きょ帰国することになり、演説文だけ発表された。演説文は「開かれた、海の恵み――日本外交の新たな5原則」と題され、13年が日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)の友好協力40周年にあたることを念頭に、日米同盟の強化やASEANとの関係強化の重要性などを訴えている。安倍首相が打ち出した新たな外交5原則は、(1)思想、表現、言論の自由など普遍的価値の拡大、(2)力ではなく法とルールの支配で海洋を守る、(3)自由でオープンな経済連携、(4)文化のつながりの充実、(5)未来を担う若い世代の交流促進。1977年に当時の福田赳夫首相がマニラで発表した東南アジア政策の方針を「福田ドクトリン」ということから、安倍首相の外交方針を「安倍ドクトリン」と呼ぶこともある。