議員定数訴訟のこと。国政選挙の選挙区間で、公職選挙法で規定した議員定数と有権者人口との比率に格差があり、投票価値が平等でないとして、選挙の無効を求めて提起する訴訟をいう。「一票の格差」は、選挙区ごとに議員1人当たりの有権者数を計算して比較した数字で示され、この差が大きいと、法の下の平等を定めた憲法14条に反するとして訴訟が提起される。もともと各選挙区の議員定数は1946年の人口を基準に定められていたが、その後の人口変動で定数配分の不均衡が進んだにもかかわらず、是正が行われなかったことから、特に大都市圏と農村部で格差が大きく広がり、議員定数不均衡の是正を求める訴訟が繰り返し提起されるようになった。これまで最高裁判所が「違憲」判決を下したのは、72年(最大格差4.99倍)と83年(同4.40倍)の衆議院選挙に対して2回あり、80年(同3.94倍)、90年(同3.18倍)、2009年(同2.30倍)の同選挙に対して「違憲状態」と判断している。参議院選挙についてはこれまで「違憲」判決はなく、1992年(最大格差6.59倍)の選挙と、2012年10月17日に判決が言い渡された10年の選挙(同5.00倍)を「違憲状態」と判断。12年10月末時点で、国会は衆参両院とも「違憲状態」とされる異例の事態となっている。