原子力発電所の事故に備え、周辺自治体が事前に重点的な対策を講じておく区域のこと。原子力災害対策特別措置法に基づき、2012年10月31日に策定された「原子力災害対策指針」に、その概要が示されている。重点区域の範囲は、実用発電用原子炉(高速増殖炉「もんじゅ」なども含む)と、それ以外とで区別。実用炉の場合、国際原子力機関(IAEA)の基準に合わせて、施設からおおむね半径5キロ圏を「予防的防護措置を準備する区域(PAZ ; Precautionary Action Zone)」とし、即時避難などの対策を取る地域に指定。また、おおむね半径30キロ圏を「緊急時防護措置を準備する区域(UPZ ; Urgent Protective Planning Action Zone)」とし、避難や屋内退避などの防護措置を取る地域に指定。その他、半径30キロ圏外でも放射性物質の雲(プルーム)が発生した際の「プルーム通過時の被ばくを避けるための防護措置を実施する地域(PPA ; Plume Protection Planning Area)」について検討を求めている。実用炉以外の場合は、研究開発段階の原子炉施設では半径約8~10キロ、試験研究用炉では出力に応じ1.5キロ~50メートルなどの目安を示している。原子力施設の周辺自治体は、こうした点を踏まえて、地域防災計画で重点区域を設定する。対象自治体は、21道府県135市町村に及ぶ。