原子力災害に対処するための法律。1999年9月に茨城県東海村の核燃料加工工場ジェー・シー・オー(JCO)で起きた臨界事故を受けて、原子力災害に対する対策の強化を図るために法制化されたもので、災害対策について定めた災害対策基本法や、原子力規制に関する原子炉等規制法などを補う特別法として、同年12月に公布され、翌年6月から施行された。この法律により、国の権限が強化され、原子力関連施設で事故が発生した場合は、政府と地方自治体や原子力事業者などが、相互に連携を図りながら協力することが義務づけられた。2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)では、東京電力が福島第一原子力発電所(福島第一原発)で起きた異常事態を、同法に基づいて経済産業省の原子力安全・保安院に通報。政府はこれを受けて「原子力緊急事態」を宣言し、首相を本部長とする原子力災害対策本部を設置した。さらに同発電所の事故による影響で、規制値を超える放射性物質が農産物から検出されたことがわかり、菅直人首相は同月21日、同法に基づいて、福島、茨城、栃木、群馬の4県に対して、ホウレンソウやかき菜などの出荷停止を指示した。