2012年12月26日に就任した自民党の安倍晋三首相が、同月の衆議院議員総選挙で掲げた経済政策の通称。安倍とエコノミクス(経済学)を組み合わせた造語で、選挙期間中からメディア等で用いられるようになった。安倍首相は、(1)金融政策、(2)財政政策、(3)成長戦略の3本の矢により、デフレと円高からの脱却を果たし、名目で3%以上の経済成長を実現するとしている。具体的な政策としては、(1)日銀との連携強化により2%のインフレ目標を設定し、大胆な金融緩和を行う、(2)緊急経済対策として公共事業を中心に大規模な財政出動を行い、需要を喚起する、(3)製造業の復活や企業の海外展開、新産業の育成などの分野で、民間投資を呼び込むための成長戦略を策定・推進する、などを指す。また、経済政策の司令塔として内閣に日本経済再生本部を設置し、その下に民間の経営者らを交えて成長戦略を具体的に議論する産業競争力会議を設置した。それらの会議と連携して、01年に内閣に設置され、民主党政権時代には実質的に機能していなかった経済財政諮問会議を復活させ、中長期的な経済財政運営の基本方針として骨太の方針を策定する。市場では、安倍政権の経済政策によるデフレ脱却への期待感が高まり、12年末に円安と株高が進行し、安倍相場と呼ばれた。