政府のエネルギー・環境会議が2012年9月14日に決定した新たなエネルギー戦略。東京電力福島第一原子力発電所事故を教訓に、政府はこれまで進めてきた、原子力エネルギーへの依存度を高める政策を、白紙から見直すことを表明。新たな戦略は、(1)原発に依存しない社会の一日も早い実現、(2)グリーンエネルギー革命の実現、(3)エネルギーの安定供給、を三本柱とし、「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」との目標を掲げた。原発に依存しない社会の実現に向けては、(1)40年運転制限制を厳格に適用する、(2)原子力規制委員会の安全確認を得たもののみ、再稼働とする、(3)原発の新設・増設は行わない、との三つの原則を示した。ただ、使用済み核燃料の再処理事業の継続も明記するなど、内容面での矛盾も指摘されている。また、「原発ゼロ」を目指す戦略に対し、経済界や欧米、原発立地自治体などから反発が強く、政府は同月19日の閣議で、戦略そのものの文書は決定せず、「『革新的エネルギー・環境戦略』を踏まえて、関係自治体や国際社会等と責任ある議論を行い、国民の理解を得つつ、柔軟性を持って不断の検証と見直しを行いながら遂行する」とする方針のみを閣議決定した。