放置すれば直接の武力攻撃が及ぶおそれがあるなど、日本の平和および安全に重大な影響を与える事態が、日本周辺で起きた場合の対応を定めた法律。周辺事態安全確保法ともいう。正式名称は「周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律」。1999年5月24日に成立、8月25日に施行された。94年に起きた朝鮮半島危機などから、日米両国は96年、アジア太平洋地域で有事が起きた際の協力強化を掲げた日米安保共同宣言を発表。翌97年には日米防衛協力指針(日米防衛協力ガイドライン)を改定した。これらを具体化する形で、「周辺事態(situations in areas surrounding Japan)」における米軍への後方地域支援や、後方地域捜索救助活動など、日本の果たす役割や対応手順を定めたのが周辺事態法である。同法の適用にあたっては国会の承認が必要だが、緊急の場合は事後の国会承認でもよいとされている。なお、これまで周辺事態法が発動されたケースはない。政府は日米防衛協力指針や周辺事態法が想定する「周辺事態」について、「地理的な概念ではなく、生じる事態の性質に着目したもの」というあいまいな態度を取っている。