国税に関する審査請求の裁決を行う機関。納税者の正当な権利利益を守る目的で、1970年5月に国税庁の付属機関として設置され、現在は税務署や国税局などの執行機関から分離された特別の機関となっている。本部(東京)のほかに、全国に12の支部、7の支所が置かれている。国税当局が行った課税処分や滞納処分などに不服がある場合は、通常はまず税務署長や国税局長に対して異議申立てを行い、その結果に不服があるときは国税不服審判所長に審査請求を行う。審査請求を受けた国税不服審判所では、担当審判官らが調査や審理を行って裁決を下す。さらにその裁決に不服があるときは、裁判所に訴えを起こすことができる。国税審判官には、弁護士、税理士、公認会計士、大学教授などが応募できるが、実際にはほとんどが税務署や国税局から出向してきた職員が占め、中立性を欠いているといった指摘もある。民主党は2009年の政策集で「国税不服審判のあり方の見直し」を掲げ、10年11月の政府税制調査会(会長=野田佳彦財務相)のプロジェクトチーム(PT)の会合で、審判官の半数を公募で採用する方針を決めた。