日本国憲法に定められた、国事に関して天皇が行う行為。儀礼的・形式的な行為で、すべて内閣の助言と承認を得て行われる。具体的には、内閣総理大臣および最高裁長官の任命(6条)、憲法改正、法律・政令・条約の公布、国会の召集、衆議院の解散、総選挙施行の公示、国務大臣および法律の定める官吏の任免や全権委任状および大使・公使の信任状の認証、恩赦の認証、栄典の授与、批准書および外交文書の認証、外国の大使および公使の接受、儀式を行うこと(7条)など。「国政に関する権能を有しない」ため、天皇が政治に直接かかわることはなく、内閣も政治的な利用はできない。2009年12月15日に行われた天皇陛下と中国の習近平国家副主席との会見に際し、政府が陛下への会見要請を1カ月前に行うという「1カ月ルール」の慣例に反したことで、宮内庁長官が天皇の政治利用につながりかねないとの懸念を表明。これに対して民主党の小沢一郎幹事長らが長官を非難し、官邸と宮内庁の対立が表面化した。なお、宮内庁では、天皇が外国の元首などと会うのを「会見」、首相や大使などと会うのを「引見」と区別しており、習国家副主席との会見は「引見」としている。また、同会見が「国事行為」であるという見方もあるが、宮内庁はこれを憲法に規定のない「公的行為」と位置づけている。