市民や企業が暴力団と関係をもつことを禁止する条例。暴力団との交際を絶ち、暴力団を社会から締め出すことを狙ったもの。2006年に政府の犯罪対策閣僚会議が「公共事業からの排除対象の明確化と警察との連携強化」および「暴力団員等による不当介入に対する通報報告制度の導入」の推進を決めて以後、各地方自治体で「暴力団排除条項」が整備された。罰則付きの暴力団排除条例は10年に福岡県で初めて制定され、その後、全国の道府県で相次いで同様の条例を導入。11年10月1日に東京都と沖縄県で施行されたことで、すべての都道府県で実施されることになった。都道府県のレベルの条例には、(1)事業者による暴力団員等に対する利益供与の禁止、(2)不動産の譲渡等をしようとする者の講ずべき措置、(3)学校等の周辺200メートル区域における暴力団事務所の新規開設・運営の禁止などが盛り込まれているほか、各都道府県の暴力団情勢などに応じた規定が設けられている。東京都の条例では、祭礼などの主催者が行事の運営に暴力団を関与させないことや、青少年を暴力団事務所に立ち入らせることなどを禁止している。条例に違反した場合は、公安委員会が勧告を行い、従わない場合には実名が公表されるほか、悪質な違反に対しては懲役や罰金といった罰則規定が設けられている。