滋賀県の嘉田由紀子知事が提唱している政策で、原子力発電所から卒業することをいう。嘉田知事は2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所事故以来、原発問題について積極的に発言し、同年6月21日の定例記者会見で、原発依存からの脱却と太陽光など代替エネルギーへの転換を訴え、7月12日の全国知事会議では、山形県の吉村美栄子知事と共同で「卒原発」を提言した。「卒原発」という言葉は、元滋賀県知事の武村正義元官房長官が11年6月19日の京都大学での講演で使い、嘉田知事はこれに共感して支持する考えを示したとされる。12年12月16日投開票の衆議院総選挙では、東日本大震災後初めて行われる国政選挙であるにもかかわらず、原発についての議論が不透明だとして、「脱原発」を掲げる政党などと結集を図り、自ら11月27日に国政政党「日本未来の党」を結成。政権公約として、実質的に「原発稼働ゼロ」の現在から10年以内にすべての原発を廃炉にする「卒原発」を掲げた。日本未来の党には、小沢一郎代表が率いる「国民の生活が第一」などが合流し、民主党、自由民主党の二大政党に対抗する新たな「第三極」を目指して総選挙に臨んだ。