東日本大震災復興構想会議が2011年6月25日にまとめた提言。復興構想会議は震災から1カ月後の4月11日に設置された菅直人首相の諮問機関で、五百旗頭真防衛大学校長が議長を務める。提言は「復興への提言~悲惨のなかの希望~」と題され、(1)新しい地域のかたち、(2)くらしとしごとの再生、(3)原子力災害からの復興に向けて、(4)開かれた復興、の四つの章から成る。具体策では、「大災害を完全に封ずることができると想定するのではなく、災害時の被害を最小化する『減災』の考え方が重要」とし、災害との遭遇に際しては「逃げる」ことを基本とする防災教育の徹底やハザードマップの整備など、ソフト面の対策を重視することを提唱。また、今回の被災地が産業や地形などが多様であることから、復興施策のポイントを5類型に分けて提示したほか、区域を限定して規制の特例措置を適用する「特区」手法を活用することや、復旧・復興財源は次の世代に負担を先送りせず、臨時増税措置として基幹税を中心に多角的に検討すべき、といったことなどが盛り込まれた。原子力発電所の事故については、「国が責任を持って一刻も早く収束させ、原因究明と影響評価、事故対応の妥当性の検証を徹底的に行うべき」とし、エネルギー戦略の見直しにあたっては、再生可能エネルギーの導入促進、全量買い取り制度の早期成立・実施が不可欠としている。