大阪府で2011年6月に成立した全国初の条例で、正式には「大阪府の施設における国旗の掲揚及び教職員による国歌の斉唱に関する条例」。当時大阪府知事だった橋下徹大阪市長が率いる「大阪維新の会」が、単独過半数を占める府議会(定数109)で、公明党、自民党、民主党、共産党の全他会派の反対を押し切り、賛成59票、反対48票で可決、成立した。学校などの府の施設では、業務時間内は利用者が見やすい場所に国旗を掲げること、府立学校や市町村立学校に勤務する教職員は、入学式や卒業式などの行事の際に起立して国歌を斉唱すること、を義務づけている。目的は、学校における服務規律の厳格化を図ることとしており、この条例自体には処分規定はない。対象には、府の教育委員会が任免権や処分権をもたない、大阪と堺の両政令指定都市の教職員も含まれる。12年2月には大阪市でも同様の条例が大阪維新の会、公明党、自民党の賛成多数により可決、成立した。第二次世界大戦後、日の丸と国歌斉唱により教え子たちの戦意を高揚させて戦地に送り出したという反省のもと、君が代の起立斉唱を拒む教職員は多数いたが、1999年の国旗・国歌法制定以降、各自治体の教育委員会が、行事での国歌斉唱の徹底を指示し、たびたび従わない者には戒告など処分を下すようになっていた。憲法第19条が保障する「思想・良心の自由」の侵害にあたるとして、東京都教育委員会に処分された教員が起こした裁判では、2012年1月に最高裁判所第1小法廷が、戒告は妥当としたが、減給・停職は慎重に考慮する必要があるとして、処分の一部を取り消している。係争中の裁判も多く、条例化に対しては賛否が分かれている。