犯罪捜査における容疑者の取り調べの適正化を図るため、警察署を巡回して監視、監督する担当者。2008年3月に国家公安委員会が決定した「容疑者取り調べ適正化のための監督に関する規則」により、全国の警察本部に新設され、08年夏から試験運用を始める。本格導入は09年4月の予定。巡察官は、マジックミラー越しに取り調べを監視するなどして、(1)容疑者の身体にふれる行為、(2)定められた時間外の取り調べなど、原則禁止とされる「監督対象行為」があった場合には、取り調べを中断させる。同時に、各警察署には巡察官とともに監督を行う「取り調べ監督官」が、警察本部には容疑者からの苦情を受けて事実関係を調べる「調査官」が配置される。07年に無罪が確定した富山県の冤罪事件や、鹿児島県のいわゆる「志布志事件」など、不適正な取り調べに対する批判の高まりが新制度の背景にあるが、警察内部による監督のため、実効性には疑問の声もある。