公文書の作成や保存についての統一ルールを定めた法律。これまで行政にかかわる文書管理は各府省が行っていたが、社会保険庁の年金記録紛失をはじめ、海上自衛隊の航海日誌が保存期限前に廃棄されたり、厚生労働省のC型肝炎関連資料が倉庫に放置されたりといった問題が起きていた。こうしたずさんな管理体制に歯止めをかけようと、2008年1月に福田康夫首相(当時)が施政方針演説で「公文書の保存に向けた体制の準備」を表明。09年3月に「公文書等の管理に関する法律案」を国会に提出し、6月24日に成立した。同法は、公文書を「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」と位置づけ、「国民が主体的に利用し得るもの」と明記。府省ごとに異なっていた公文書の管理方法を統一し、歴史資料として重要な公文書は国立公文書館に移管することや、保存期間が過ぎた公文書を廃棄する際には首相の同意を得ることを規定したほか、行政機関の意思決定過程を検証できる形で文書を作成することなども義務づけた。