原子力事故の被害者が原子力事業者へ損害賠償を請求する際の、円滑、迅速、公正な紛争解決を目的に設置される公的機関。裁判外紛争解決手続き(ADR)の一種で、裁判を経ずに当事者間の和解交渉を仲介するもの。2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所事故を受けて、同年8月29日、原子力損害賠償法に基づき文部科学省原子力損害賠償紛争審査会の下に開設された。被害者は、同審査会がまとめた中間指針に基づく賠償額に合意できない場合、本センターに和解仲介を申し立てることができる。申請には、文部科学省のホームページなどから入手した「和解仲介手続申立書」に必要事項を記入のうえ、東京都と福島県に設けられたセンターに郵送する。申請が受理されると、センターに選任された仲介委員(弁護士)が被害者と東電双方から事情を聴き、損害の調査・検討を行い、双方の意見を調整しながら和解案を提示する。双方が合意すれば東電から賠償金が支払われ、決裂したら裁判となる。申し立ての費用は無料。ただし、書類の作成費や郵送費、交通費、弁護士を依頼した場合の費用などは被災者の負担となる。