緊急事態における原子力施設周辺の住民避難対策などを定めた指針。東京電力福島第一原子力発電所事故を踏まえ、原子力規制委員会が2012年10月31日に策定した。指針は従来の「原子力施設等の防災対策」(旧指針)を見直し、(1)住民の視点に立った防災計画を策定すること、(2)災害が長期にわたる場合も考慮して、継続的に情報を提供する体系を構築すること、(3)最新の国際的知見を積極的に取り入れるなど、計画の立案に使用する判断基準などが常に最適なものになるよう見直しを行うこと、を基本的な考えとして掲げ、事前対策や緊急事態応急対策などを定めている。原子力災害が発生した場合に備えた重点区域は、国際原子力機関(IAEA)の基準に合わせ、原子力施設から30キロ圏を「緊急時防護措置を準備する区域(UPZ Urgent Protective action Zone)」、5キロ圏を事故が予想される場合に即時避難させる「予防的防護措置を準備する区域(PAZ Precautionary Action Zone)」に設定。重点区域の対象自治体は、21道府県135市町村となる。甲状腺被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤の服用指示については、原子力規制委員会が一義的に判断し、自治体が所定の医療関係者に速やかに伝えるとしている。今後、各自治体は指針に基づき13年3月までに地域防災計画を作成する。