東京電力と経済産業省資源エネルギー庁、原子力安全・保安院によってまとめられた、福島第一原子力発電所1~4号機の廃止措置等に向けた中長期のロードマップのこと。2011年12月16日に事故収束を目指す工程表のなかで原子炉の冷温停止状態を目指す「ステップ2」が完了したことから、同月21日、政府・東京電力中長期対策会議の第1回会合で決定・了承された。1~4号機すべての廃炉措置が完了するまでの期間を30~40年後に設定し、工程によって大きく3段階に分けた。「第1期」は2年後以内(~13年度)で、使用済み燃料プール内の燃料取り出しを開始するまでの準備期間、「第2期」は10年後以内(13~21年度)で、すべての使用済み燃料プール内の燃料取り出しを完了し、燃料デブリ(核燃料と被覆管などが溶融して再固化したもの)の取り出しを開始するまでの期間、「第3期」は30~40年後(21~51年度)で、燃料デブリの取り出しを完了し、廃炉措置を終了するまでの期間とした。この工程表を実施するにあたって、東京電力本店に専任の組織を設置し、廃炉完了まで継続的に要員の育成や作業の安全確保などに取り組むとしている。本工程の一番の難関は、燃料デブリの取り出しだと言われ、作業を行う原子炉建屋や原子炉格納容器内の放射線量が高いため、人の手による作業が難しい。また、格納容器内の破損箇所の調査や修復作業なども必要なことから、燃料デブリ取り出しに伴う除染や各種調査、修復作業のための遠隔装置(ロボット)の開発が必須で、今後の大きな課題となっている。