国が定める法令の内容を、地方自治体が条例で上書き(修正、変更)できる権利。2007年5月に、政府の地方分権改革推進委員会が示した、今後の議論における「基本的な考え方」に明記された。ただし、日本国憲法では条例の制定について、第94条で「法律の範囲内で」定めることができるとしているため、自治体の裁量で法律を上書きすることはできない。そこで実際には、法律の施行にあたって内閣が定める政令、または、各省の大臣が定める省令が対象となる。これにより、例えば、保育施設の設置に求められる屋外遊戯場の広さ、医療施設に必要な医師数の算定方法、農地売買の際の最低面積など、これまで全国一律で定められていた基準について、地域の実情に応じて設定し直すことが可能になる。07年4月から北海道で施行されている道州制特区推進法では、道が国に上書きを求めるかたちで導入されている。