河川や湖、ダムなどの水を利用する権利。水利権には、農業用水、水道用水、工業用水、発電用水があり、それぞれの利用については河川法で次のように決められている。水利権を取得するには河川管理者への申請が必要で、一級河川は国土交通大臣、二級河川は都道府県知事、準用河川は市町村長の許可を得なければならない。農業用水、水道用水、工業用水は10年に一度の更新、発電用水は20~50年に一度の更新が必要で、申請がなければ権利は失効する。熊本県は2010年2月24日、同年3月31日で期限が切れる荒瀬ダムの水利権の更新を、利害関係者である球磨川漁協の同意を得ないまま国土交通省に申請した。地元漁協らは水質が悪化しアユ漁などに悪影響を及ぼしているとしてダム撤去を求めており、動向が注目されている。荒瀬ダムは、1955年に熊本県が球磨川に造った発電専用ダムで、2002年に潮谷義子前知事が撤去を表明したが、蒲島郁夫現知事が存続に転換した経緯がある。今回、蒲島知事は水利権の更新は困難と判断し、ダム撤去を表明している。