弾道ミサイルなどが日本に飛来し、日本の領域内で人命や財産に被害が生じる恐れがあるとき、ミサイル防衛(MD)システムなどで破壊するよう、防衛相が自衛隊に下す命令。2005年に改正された自衛隊法82条の2に規定されている。北朝鮮が09年4月4~8日の午前11時~午後4時の間に、「人工衛星を打ち上げるロケット」を発射する、と予告したことに対し、日本政府は3月27日、安全保障会議(議長・麻生太郎首相)を開き、ミサイルが日本の領土や領海に落下する場合に備え、初めて「弾道ミサイル破壊措置命令」を発令すると決定。浜田靖一防衛相が、自衛隊に対し、4月10日を期限とする破壊措置命令を発令した。破壊措置命令の手続きには、日本に飛来する恐れがあるとき、首相の承認(閣議決定)を経て防衛相が命じる(自衛隊法82条の2の1項)、飛来する恐れがあるとまでは言えないが、事態の急変に備えて防衛相が事前に原則非公表で命じる(同3項)、の二つがある。今回は3項が適用されたが、ミサイル打ち上げが予告されている、国民への説明が必要、という理由から、発令が公表された。