中央や地方の政府に対して、国民が直接意見や要望を提出できる制度。一般的には、住民が地方自治体の議会や執行機関に、また自治体や業界団体が国会や中央省庁などに対して実情を述べ、適切な処置をしてもらうよう要請することをいう。自由民主党政権の時代には、「族議員」といわれる特定の議員が、各省庁の予算獲得や法案成立に協力するのと引き換えに、陳情処理を頼むといったことが行われていたため、「政官癒着」の温床になると指摘されていた。政権交代を実現した民主党は2009年11月2日、役員会で陳情の新たなルールを決めた。それによると、まず陳情を受けた議員が党の幹事長室に報告する。次に副幹事長が中心になって内容を精査したうえで、各省担当の副幹事長(14人)が各省庁の政務三役(大臣・副大臣・政務官)に伝える、という流れになる。小沢一郎幹事長は同日の役員会で、「これまでの陳情は、各議員・各省庁といろいろ結びつく利益誘導型の政治、政官業癒着の政治を生み出す大きな原因の一つだった。そういうことをなくそうというのが我々の基本的な主張」だと述べ、新しい陳情ルールの意義を強調した。