2010年12月17日に閣議決定された、11年度以降の「防衛計画の大綱(防衛大綱)」で初めて盛り込まれた、日本の防衛についての概念。防衛大綱は、日本の防衛政策の在り方、防衛力の規模、国際情勢の認識を示す基本指針。1976年以来、存在自体による抑止として、必要最小限の防衛力を国内に均等に配置する「基盤的防衛力構想」が、防衛力整備の基本指針となってきたが、34年ぶりにこれを完全に転換。アジア太平洋、さらにはグローバルな安全保障環境の安定化に向けて、より実効的な抑止と対処を行う必要があるとして、そのために「即応性、機動性、柔軟性、持続性及び多目的性を備え、軍事技術水準の動向を踏まえた高度な技術力と情報能力に支えられた動的防衛力」の構築を掲げている。具体的には、(1)日本周辺での情報収集や偵察活動、(2)日本周辺やアジア太平洋地域での日米、あるいは多国間での防衛協力や演習などの実施、(3)国際テロ対策や海上交通の安全確保などのグローバルな活動を、「動的防衛力」構想の下で行うとしている。新しい防衛大綱には、このほかに、南西諸島の防衛力の強化や、PKO(国連平和維持活動)参加5原則見直しの検討などが盛り込まれている。