裁判員裁判において、量刑判断の参考にできるよう、過去の類似事件の判決の傾向を検索して知ることができるシステム。最高裁判所が開発したもので、裁判員裁判の対象になる過去の事件の判決約3000件について、事件の概要、凶器の種類、反省の度合いなど十数項目を、判決を言い渡した裁判官が入力したデータが蓄積されている。全国の地方裁判所・支部に置かれたデータベースの端末から検索が可能で、類似事件の量刑分布をグラフで示すことなども可能。一般には非公開だが、裁判官と裁判員が有罪・無罪や量刑を話し合って決める「評議」の際に、裁判官が裁判員に示すことができるほか、検察官や弁護士も裁判で使用することができる。しかし、こうした過去の判断が示されることで裁判員の感覚が判決に反映されにくくなる可能性も指摘されている。2009年12月16日、東京地裁で開かれていた覚せい剤取締法違反事件の裁判員裁判で、弁護側が「量刑検索システム」のデータを示したが、検察側の指摘で、覚せい剤の密輸量や罪名などについて誤りがあることが明らかになり、翌日、裁判長が陳謝。最高裁刑事局が全国の地裁・支部に確認を指示したところ、翌1月8日までに22件のデータ入力ミスがあることが判明した。最高裁では今後、入力の際には複数の裁判官が相互にチェックし、最高裁でも判決文を点検するなど、チェック態勢を強化するとしている。