海難審判法に基づき海難の原因を究明する国の行政機関。国土交通省の外局で、海難事故の再発防止に努めている。地方海難審判庁と高等海難審判庁からなり、前者は函館、仙台、横浜、神戸、広島、門司、長崎に置かれ、那覇に門司の支部が設けられている。後者は東京に置かれ、それぞれ理事所が設けられている。海難事故が発生した場合、海上保安庁が刑事責任の追及を目指して捜査するのに対して、海難審判庁は原因究明のための調査を行う。調査の結果、故意や過失で発生したと判断した場合は、免許取り消しや業務停止といった行政上の処分を行う。2008年2月19日に海上自衛隊のイージス護衛艦「あたご」と漁船「清徳丸」が衝突した事件では、海上保安本部(横浜)の捜査とは別に、横浜地方海難審判理事所が調査本部を設置し、横須賀沖に停泊する「あたご」の船体検査に理事官らを派遣し、事故原因を究明するための調査を行った。