政府が主催する、アイヌ政策を推進するための会議。内閣官房長官や北海道アイヌ協会の理事長、札幌市長らで構成され、2010年に第1回会議が行われた。同会議は、09年に内閣官房長官のもとで開催された「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」でまとめられた報告書に基づいて協議を重ねてきた。同報告書は、アイヌの人々が居住地に左右されず、自律的な生を営み、文化振興などを担えるようにするための支援が必要だとしている。12年7月の第4回会議では、北海道白老(しらおい)町の複合施設「民族共生の象徴空間」をアイヌの歴史と文化継承の拠点となる「ナショナルセンター」として位置づける方針が確認された。また、北海道外に居住するアイヌの人々の生活実態がこれまで十分把握されていなかったことに対して、作業部会は11年6月に「北海道外アイヌの生活実態調査」を実施していた。その結果、道外に暮らすアイヌの人々は「経済的な理由」によって高等学校を中途退学する例が多いことや、特に首都圏においてアイヌの人々の交流の場が失われていることなどの問題が明らかになった。同会議ではそれを受け、道外アイヌの子弟の進学率向上のための奨学金の検討や、生活相談の実施の検討を進めるなどとした。13年度予算に、これらの必要額を計上するとしている。