東京都発注の下水工事について、雨が一滴でも降ればただちに管内工事を中止し、雨がやんでも管内水位が通常に戻るまでは作業を再開しない、とする東京都独自の安全対策。2008年8月、東京都豊島区の下水道工事現場で、ゲリラ豪雨によって急増した水に流されて、5人の作業員が死亡する事故が発生した。同年9月、この事故を踏まえた再発防止策として、東京都水道局では一滴ルールを定め、下水が流入する直径80cm以上の下水管に一律に適用する、とした。しかしこのルールを適用すると、危険性が伴わない区域でも、霧雨程度の雨でさえ工事が中断され、工期の遅れを招くことになる。これにより工期に間に合わせるため、無理な作業を強いる労働強化につながる危険があるとして、豊島区などを管轄する池袋労働基準監督署は、09年3月、このルールの改善を求める文書を東京都水道局に提出した。安全基準と労働環境をめぐり、新たなルール作りを検討する必要も指摘されている。