2009年8月の衆議院議員総選挙に際して、民主党がマニフェスト(政権公約)に掲げた施策の一つで、高速道路の通行料金を無料にするもの。ただし、全国一律の無料化は、首都高速道路など都市部の渋滞を悪化させる懸念がある。このため、マニフェストの工程表では完全実施を12年度以降とし、10~11年度を段階的実施の期間としている。段階的実施の期間中には、地方の割引率を徐々に拡大して、通行量への影響を検討することが想定されている。日本の高速道路は、05年に民営化された高速道路会社6社が、日本高速道路保有・債務返済機構から高速道路を借り受けるかたちをとっており、高速道路会社が徴収する通行料金は、高速道路の維持・修繕費のほか、機構へのリース料の支払いに充てられている。民主党は、マニフェストでこれらの費用として通行料金の代わりに年間1兆5000億円の財源が必要としたが、高速道路を利用しない人を含めた国民の税金を投入することに疑問の声があがっている。さらに、高速道路の無料化は自動車の交通量を増加させるため、地球温暖化対策として世界で進んでいる脱マイカーの流れに逆行するとの批判もある。09年9月には、09年春から実施の「1000円高速」で高速バス利用者が減少し、経営が悪化しているとして、九州バス協会が無料化実施の見送りを求める要望書を国土交通省に提出した。