国会で一度議決または決定した問題については、同一会期中に再び同一の問題を審議しないという原則をいう。議会の意思は会期ごとに独立しているという観念に基づくもので、再議を認めれば同一問題が蒸し返されて際限がなくなり、議会運営が常に不安定な状態に置かれてしまうとの趣旨による。一事不再議の原則は、旧憲法に明文化されていたが、現行憲法下では明文化されておらず、あくまで慣例とされている。2011年通常国会の会期中、衆議院本会議で菅直人内閣に対する不信任決議案が提出され、6月2日に否決されたが、その後も菅首相に退陣を求める動きは収まらず、7月になって野党などが菅内閣への不信任決議案の再提出を唱え始めた。一事不再議の適用範囲については明確な規定はなく、その時々の政治判断に委ねられるが、内閣不信任決議案が同一会期中に2回採決された例は過去にない。なお、ある事件について裁判が一度確定した場合、同一事件を再び審理することは許されないとする「一事不再理」については、刑事訴訟法で採用されている。