原子力発電所など原子力施設の立地する地方自治体と原子力事業者が、住民の安全確保などを目的に結ぶ協定。原子力に関しては法律で国が一元的に監督することが定められており、自治体は原子力事業者に対して安全面での要求をする法的な権限がない。そのため、地域住民の安全を担う自治体が、住民の立場で原子力施設周辺の安全を確保するために結ばれる。内容は自治体によってさまざまだが、主に放射性物質の監視、異常時における情報の連絡体制、自治体による立ち入り調査、新設や増設など施設の変更に対する地元の事前了解などについて取り決めている。福島県は1969年4月に東京電力と「原子力発電所の安全確保に関する協定」を締結し、環境放射能の測定データの評価解析や発電所の安全確保、信頼性向上の協議を定期的に行っている。東日本大震災で発生した東京電力福島第一原発事故を受けて、立地以外の周辺自治体にも締結を要請する動きが拡大し、2011年8月には関西圏の7府県でつくる広域行政組織「関西広域連合」が、関西電力、四国電力、中国電力の各電力事業者に原子力安全協定の締結を申し入れた。