道路整備や河川工事など具体的な公共事業に、予算や補助金を割り当てること。地方自治体や業界団体の関心が高く、自由民主党政権の時代は、与党の有力政治家や族議員が「個所付け」に影響力を発揮し、利益を誘導してきた経緯がある。これまで個所付けは、予算成立後に配分額を正式決定し、政府が地方自治体などに伝えていたが、民主党は2010年度予算案の審議に入る前の10年1月29日、同党の本部に都道府県連の代表者を集め、国土交通省が所管する公共事業予算の配分(個所付け)を示した資料を配布。民主党はこれを「中間の調査段階の仮配分」と説明したが、自民党など野党は、予算成立前の「個所付け」通知であり、機密漏えいだと批判し、予算委員会理事会への資料の提出を要求した。民主党は「個所付けではない」として資料の提出を拒み、国会は一時紛糾したが、結局、政府は2月10日に関係資料を提出。かつて個所付けは選挙対策としてきわめて有効な手段とされ、情報入手に有利とされる与党議員が、権力を誇示する手段として利用することがあったともいわれている。