東京電力福島第一原子力発電所事故調査委員会(国会事故調査委員会)が2012年7月5日にまとめた最終報告書のこと。国会事故調は、日本の憲政史上初めて国会に設置された第三者による調査機関で、11年12月に発足。延べ1167人に900時間超のヒアリングを行い、東電や規制官庁など関係者から2000件以上の資料提供などを得た。報告書は約640ページに及び、事故の根源的原因について、歴代の規制当局と東電との関係に言及し、「規制する立場とされる立場が『逆転関係』となることによる原子力安全についての監視・監督機能の崩壊が起きた」とし、「今回の事故は『自然災害』ではなくあきらかに『人災』である」と結論づけた。また、事故の直接的原因について、「安全上重要な機器の地震による損傷はないとは確定的には言えない」と明記。避難指示が住民に的確に伝わらなかった点は、「規制当局の原子力防災対策への怠慢と、当時の官邸、規制当局の危機管理意識の低さが、今回の住民避難の混乱の根底にあり」と分析した。東電については、「緊急時に、発電所の事故対応の支援ができない現場軽視の東京電力経営陣の姿勢は、原子力を扱う事業者としての資格があるのか」との疑問を呈した。このほか調査結果を踏まえ、「規制当局に対する国会の監視」など七つの提言も盛り込まれた。報告書はホームページ(http://naiic.go.jp/report/)で見ることができる。