元内閣総理大臣で自由民主党の初代総裁を務めた鳩山一郎(1883~1959)の私邸。鳩山家は、衆議院議長の和夫(1856~1911)、内閣総理大臣の一郎、外務大臣の威一郎(1918~93)、衆議院議員の由紀夫(1947~)、邦夫(1948~)と、4代にわたり政治家を生み出してきた一族。一郎は、2009年8月30日の衆議院選挙で大勝し9月16日に首相となった民主党の鳩山由紀夫の祖父に当たり、その由紀夫が育った家として注目を集め、選挙後に来館者が3倍以上になるなど話題を呼んでいる。東京・文京区音羽1丁目の丘に立つ地上3階、地下1階の鉄筋コンクリート造りの洋館で、設計者は大正、昭和初期に活躍した建築家の岡田信一郎。国の重要文化財に指定され様式建築の頂点とも言われる、東京・丸の内の明治生命館を手がけた人物として知られている。鳩山会館は、イギリス風の外観に、軽快優雅な古典主義的様式であるアダムススタイルの応接間、鳩をモチーフとしたステンドグラス、バラ園などが特徴で、さらに引き違えのはき出し窓など和風を取り入れた、間仕切り自由な開放的な洋館である。1924年に建てられて以来、鳩山家の人々が住んできたが、時代とともに傷みが激しく取り壊しが検討された。しかし、一郎が内閣総理大臣時代に重要な政治の舞台となったことや、建築的価値が高いことなどから、95年に修復工事が行われ、96年から一般公開されている。入館料は一般500円。