再議は、都道府県や市町村など地方自治体の首長が、議会の議決に異論があるときに、再議決を求め、議会がもう一度審議をやり直すこと。首長が再議を求める権利を再議権という。地方自治法176条に規定があり、首長は、条例や予算についての議会の議決に対して異議がある場合、再議権を行使することができる。再議が行われた場合、その予算、条例の成立には、出席議員の3分の2以上の賛成が必要となり、満たなければ廃案となる。地方自治では、首長も議会も直接投票で選ばれており、その点ではアメリカの大統領制に近い。首長の再議権は、大統領の拒否権に相当し、首長と議会を互いにけん制させることで、権力のバランスを保つ狙いがある。最近では、2000年10月に宮城県の浅野史郎知事、05年には長野県の田中康夫知事(ともに当時)が、それぞれ再議権を行使している。09年3月6日、岩手県議会が、達増拓也知事が進める県立病院・地域医療センターの無床化計画を前提とした2月補正予算について、無床化に反対する野党側がマイクロバスの購入費分を減額する修正案を可決。これに対して達増知事が、マイクロバスは無床化に伴う患者の送迎に不可欠として、再議権を行使した。翌日に行われた再議の結果、賛成が3分の2に達せず、同案は廃案となった。再議にあたって、達増知事が4回にわたり議場で土下座をくり返したことも話題となった。