国の原子力政策の基本方針を示したもの。内閣府原子力委員会が2005年10月に今後10年間を見据えて策定し、同月閣議決定した。政策大綱は全6章から成り、第1章で日本の原子力の研究、開発、利用の基本目標と、現状分析と今後の取り組みの共通理念を示し、第2章から第6章で安全対策、エネルギーや放射線利用、基礎的・基盤的な研究開発、核不拡散体制の強化・維持などについて、それぞれ取り組みの基本的考え方を示している。しかし、その後の5年間で、温室効果ガス排出削減に対する原子力発電への要求が高まってきたことや、国内原子力発電所の平均稼働率が低迷していること、アジアなどで新規導入計画が増えていることなど、原子力を取り巻く環境が変化していることを受け、同委員会は10年7月に大綱の見直しを検討。有識者との意見交換や、国民から意見募集をした結果、見直しを求める意見が多数を占めたことから、11月30日に見直しを正式決定した。原子力委員会は約1年かけて、研究者や消費者団体関係者らの意見を聞きながら、新たな「原子力政策大綱」の策定を目指す。