国が建設した公務員のための住宅。国家公務員宿舎には合同宿舎と省庁別宿舎とがあり、合同宿舎はすべての省庁の職員が貸与の対象で、建設や維持管理は財務大臣が実施。省庁別宿舎は、同一の省庁に所属する職員が貸与の対象で、建設や維持管理は一部を除き各省各庁の長が実施する。宿舎は全国に21万219戸(2010年9月1日現在)あり、内訳は合同宿舎が8万6670戸、省庁別宿舎が12万3549戸。種類としては、(1)公邸、(2)無料宿舎、(3)有料宿舎の3種類がある。公邸(210戸)は無料で貸与され、衆参議長・副議長、首相、官房長官、最高裁判所長官、在外公館の長が居住、無料宿舎(1万6804戸)は緊急事態に初動対応する職員などが居住、有料宿舎(19万3205戸)はそれ以外の国家公務員や独立行政法人の職員が居住している。これまで公務員宿舎は一般の住宅に比べて家賃が安すぎるといった批判や、公務員優遇といった指摘があり、09年11月の行政刷新会議による「事業仕分け」では税金の無駄遣いだとして、基本的に公務員宿舎は廃止、凍結の判断を下している。11年10月には野田佳彦首相が、埼玉県朝霞市の国家公務員宿舎「朝霞住宅」の建設予定地を視察し、同住宅の建設を東日本大震災の集中復興期間の5年間凍結するよう指示。これを契機に財務省は同月17日、国家公務員宿舎の削減策を検討する第1回有識者会議を開いた。