菅直人首相が掲げる政治観で「政治の役割は人々の不幸を最小限にすることにある」というもの。恋愛や結婚など、人の幸福のあり方は様々であって、政治が関与するべきではない。政治の役割は病気や貧困、戦争など、人を不幸にする要素をひとつずつ取り除いていくことだ、という意味である。イギリスの作家オールダス・ハックスリーが、人々の生活すべてを政府が管理している逆ユートピアを描いた1932年の小説「すばらしい新世界」を学生時代に読んだ菅が、そこから学んだ考え方だという。96年に刊行した自著「日本大転換」で、菅はこれを自分の背骨となる考え方であると書いており、民主党代表を務めていた2003年10月には、党のマニフェストにも掲げられた。10年6月8日、菅内閣発足時の会見で、菅はあらためて「政治の役割は最小不幸社会をつくることにある」と強調した。