女性皇族が結婚後も皇族にとどまる「女性宮家」の創設などを中心とする皇室典範見直しに向け、政府がこれまでの議論を検討し、論点をまとめたもの。2012年10月5日、「皇室制度に関する有識者ヒアリングを踏まえた論点整理」として内閣官房が発表。現行の皇室典範では、女性皇族は結婚により皇籍を離れることになっており、8人の未婚女性がいる現在の皇室では、近い将来皇族の数が大きく減ってしまい、皇室活動が困難になるとの懸念から、11年10月、羽毛田信吾宮内庁長官(当時)が野田佳彦首相に、緊急の課題として検討を要請。これを受けて政府は12年2月から6回にわたり、ジャーナリスト田原総一朗や憲法学者大石眞(まこと)など、有識者12人に順次ヒアリングを行ってきた。今回の論点整理では、皇位継承権には踏み込まないこと、対象を天皇の子と孫に当たる内親王一代に限ることを前提に、第1案として女性宮家創設を認めたうえで、配偶者及び子にも皇族の身分を付与するA案(子は婚姻により離籍)と、付与しないB案を提示。今後それぞれの長所・短所を、さらに検討する必要があるとした。一方で、宮家は創設しないが、女性皇族が皇籍離脱後も国家公務員として皇室活動を支援するという第2案も併記。女性宮家の創設が女性天皇・女系天皇につながることに強い警戒感を示す保守派に配慮した。また、一部に議論のあった旧11宮家(1947年に皇籍離脱)の皇籍復帰や養子禁止の緩和については、皇位継承問題にもつながるため、今回の検討対象とはしなかった。