北方領土の早期返還を促進するための法律。正式名称は「北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律」で、1982年に制定された。北方領土とは、北海道の北東方に位置する択捉(えとろふ)島、国後(くなしり)島、色丹(しこたん)島、歯舞(はぼまい)群島の4島を指す。第二次世界大戦後、旧ソ連(ロシア)がこれらの島々を占領し、一方的に自国に編入。日本はそれを不当として返還を要求しているが、いまだ解決に至っていない。同法には北方領土の日本への帰属が明記されていなかったため、2009年7月3日に法律の一部を改正し、北方領土が「我が国固有の領土である」ことを明記して、法的位置づけを明確にした。また、改正法には、日本の元島民や北方地域に居住するロシア人が、旅券や査証(ビザ)なしで相互訪問する交流事業の推進や、北方領土隣接地域の振興対策、北方領土返還運動の後継者の育成、周辺領海で操業する漁業者への支援、などが盛り込まれた。これに対し、ロシア側は議会を中心に反発を強め、7月9日にイタリアで行われた日ロ首脳会談でもメドベージェフ大統領が不快感を示したとされる。